NPBシーズン勝率ランキングTOP20

シーズン勝率の歴代上位には、無敗を貫いた投手もいれば、数多く勝ってわずかな敗戦に抑えた投手もいる。勝敗の内訳と規定を比べる。

概要

NPB一軍公式戦の「勝率【シーズン記録】」ランキングの上位20シーズンを、2026年10月9日に確認した。NPB公式一覧の条件は「勝率.860以上(各シーズン規定以上)」。1936秋などの分割シーズンを含み、投手勝率は勝利÷(勝利+敗戦)。ポストシーズンやMLBなどの記録は含まない。

投手の勝率は勝利数を勝利と敗戦の合計で割った割合で、勝敗の決まらなかった登板は分母に入らない。無敗でも勝利数が違えばキャリアの意味は変わる。今回の記事はNPB公式のシーズン勝率上位20記録を整理し、同じ勝率の勝敗内訳、同年リーグ2位との差、歴史的な規定、近年の勝率第一位投手の資格条件を比較する[1][2]。

詳細

NPBシーズン勝率ランキングTOP20

NPB公式のシーズン勝率ランキングでは、勝率1.000が4シーズンで1位タイとなる。最も勝利が多い無敗記録は2013年の田中将大による24勝0敗。歴代20位までの勝率は.864以上で、同じ選手が別の年度で登場する場合もそれぞれ1つの記録として数える[1]。

順位選手名球団年度勝率勝利敗北
1景浦将タイガース1936秋1.00060
1御園生崇男タイガース1937秋1.000110
1間柴茂有日本ハム19811.000150
1田中将大楽天20131.000240
5斉藤和巳ソフトバンク2005.941161
5成瀬善久ロッテ2007.941161
7御園生崇男タイガース1938春.909101
8スタルヒン巨人1938秋.905192
8杉浦忠南海1959.905384
10堀内恒夫巨人1966.889162
11松田清巨人1951.885233
12岩隈久志近鉄2004.882152
12ゴンザレス巨人2009.882152
14中谷信夫南海1951.875142
14八木沢荘六ロッテ1973.87571
14菅野智之巨人2020.875142
17斉藤和巳ダイエー2003.870203
18沢村栄治巨人1936秋.867132
18岡部憲章日本ハム1981.867132
20石本貴昭近鉄1985.864193

掲載順・公式勝率・勝敗・年度・球団はNPB公式「勝率【シーズン記録】」に準拠する。勝率=勝利÷(勝利+敗北)。勝率1.000が4件あるため全て1位タイ。表示は小数第3位で、端数がある場合は公式の丸め方に従う。★は無敗4例のうち勝利数最多の記録を示す[1]。

関連記事投手通算無敗で最も多く勝った投手プロ野球には最後まで一度も負けずに去った投手がいる。無敗のまま何勝まで伸ばしたのだろうか。

同じ勝率1.000でも勝利数が4倍違う

◇4シーズンの無敗記録を比較する

1936年秋の景浦将は6勝0敗、1937年秋の御園生崇男は11勝0敗、1981年の間柴茂有は15勝0敗、2013年の田中将大は24勝0敗。勝率の表示は全員1.000だが、決着のついた試合における勝利数は6から24まで4倍の違いがある。勝率1位タイを単純に「同じ大きさの記録」とみなせない理由である[1]。

投手(年度)勝利敗北勝率条件上の注記
景浦将(1936秋)601.000戦前の秋季シーズン
御園生崇男(1937秋)1101.000戦前の秋季シーズン
間柴茂有(1981)1501.0002リーグ制の年間記録
田中将大(2013)2401.000近年の年間記録

◇負けが1つ増えるだけで率は変わる

仮に景浦の6勝0敗が6勝1敗なら勝率は.857となり、今回の歴代20位の.864を下回る。一方、田中の24勝0敗に1敗を仮に加えると24勝1敗で.960。どちらも無敗の1.000から下がるが、勝ち星が少ない投手ほど1敗の影響が大きい。これは記録の重要性を判断するための仮定の計算であり、実際の成績ではない[1]。

◇1930年代の短期シーズンは現代と区別する

NPB公式一覧には1936年秋、1937年秋、1938年春・秋など、春秋に分かれた時代の記録も含まれる。景浦の6勝0敗や御園生の11勝0敗は当時の規定を満たした正式な歴代記録だが、現在の「13勝以上」のタイトル条件を遡って当てはめることはできない。NPB公式も「各シーズン規定以上」と記している[1][2]。

勝率の高さと最多勝利は別物

◇同率8位の19勝2敗と38勝4敗

1938年秋のスタルヒンは19勝2敗、1959年の杉浦忠は38勝4敗。勝敗の数をそれぞれ2倍にすると割合は変わらず、両者とも勝率.905で歴代8位タイとなる。杉浦の勝利数はスタルヒンの2倍だが、勝率では同じ。この関係こそ、勝率と勝利数を並べて読む意味である[1][5]。

杉浦は1959年に69試合に登板し、371回1/3を投げて38勝4敗、防御率1.40、336奪三振。最多勝利・最優秀防御率・最高勝率・最多奪三振の部門でリーグ最多を記録した。勝率.905の中身には、現在の投手起用とはかなり異なる登板量がある[5]。

◇38勝4敗でも無敗シーズンの下に並ぶ

1959年の杉浦は、2013年の田中の24勝0敗より14勝多いが、勝率では田中1.000、杉浦.905で差が.095。別の部門であるシーズン最多勝利の歴代最高は42勝(1939年スタルヒン、1961年稲尾和久)で、勝率ランキングの歴代首位とは顔ぶれが違う[1][10]。

◇同じ.875でも7勝1敗と14勝2敗

勝率.875の14位タイは1951年の中谷信夫14勝2敗、1973年の八木沢荘六7勝1敗、2020年の菅野智之14勝2敗。7勝1敗と14勝2敗は分子・分母がちょうど2倍でも同率になる。単純に「勝率が高い=多勝利」とは言えないことが、この3例でも確認できる[1]。

同じシーズンのライバルと比べる

◇2013年の田中はリーグ2位と.312差

2013年のパ・リーグ勝率は、田中将大が1.000、次点の西武・岸孝之は.688で、差は.312。田中は同年24勝0敗、28登板、212投球回、防御率1.27、183奪三振を記録した。年間24勝の無敗は率の面だけでなく、勝利数の面でも大きな実績である[3][4]。

◇2005年の斉藤和巳と2013年の田中で比較

2005年の斉藤和巳は16勝1敗で.941、パ・リーグ2位は杉内俊哉の.818で差が.123。同じリーグの次点との差は、2013年の田中の.312より小さい。歴代順位だけでは同年リーグ内での突出度まで測れないため、別々の比較が必要となる[3][6]。

年度・リーグ勝率最多同年2位差
2013年 パ田中将大 1.000岸孝之 .688.312
2005年 パ斉藤和巳 .941杉内俊哉 .818.123
2020年 セ菅野智之 .875森下暢仁 .769.106

比較は同じ年度・同一リーグのNPB公式勝率リーダーズに掲載された上位2投手の表示勝率を引いたもの。四捨五入された数字の差なので、厳密な未丸め勝率の差とはわずかにずれる場合がある[3][6][7]。

2025年に見る「勝率1位」とタイトルの違い

◇表示勝率が1位でも勝率第一位投手にならない

2025年パ・リーグは、モイネロが12勝3敗で勝率.800を記録し、リーダーズの表示では1位。一方、同年の「勝率第一位投手」は13勝5敗・勝率.722の大関友久だった。NPB公式には「13勝以上」の規定により大関がタイトル対象だと明記されている。記事の歴代ランキングに用いる「各シーズン規定以上」の基準と、当該年度の個人タイトルの要件を混同してはいけない[8][9]。

2025年パ・リーグ勝利敗北勝率タイトル扱い
モイネロ123.80013勝条件に届かず
大関友久135.722勝率第一位投手

◇2025年セ・リーグの勝率1位は.778

同年のセ・リーグの勝率1位は阪神・村上頌樹の.778で、2位の巨人・山﨑伊織は.733だった。このような近年の首位争いと、歴代20位の.864以上という水準を比べれば、今回取り上げた記録が通常のタイトル争いより高い水準に集中していることが分かる。ただし異なる時代の数値比較だけで投手の実力差は断定できない[1][11]。

ランキング上位の選手のエピソード

◇2013年の田中はリーグ優勝と最多勝・最優秀防御率

田中将大は2013年、楽天で24勝0敗を記録し、勝率第一位に加えて最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得した。NPBは同年の「シーズン24連勝」プロ野球新記録に対してコミッショナー特別表彰を行った。この数字は一人の投手の成績であると同時に、チーム初の日本一につながったシーズンの記録でもある[4][12][17]。

◇1981年は同じチームの投手が歴代上位に

1981年の日本ハムでは間柴茂有が15勝0敗で歴代1位タイ、岡部憲章は13勝2敗で.867の18位タイに入る。日本ハムはこの年パ・リーグ優勝を果たした。同じチームの別の投手が、異なる勝敗の組み合わせで歴代上位に並んだ例である[1][13]。

◇斉藤和巳は球団名が変わっても2回登場

斉藤和巳はダイエー時代の2003年に20勝3敗・勝率.870、ソフトバンク時代の2005年に16勝1敗・勝率.941で歴代上位に入った。2つの記録はチームの球団名が変わった前後で生まれたが、同じ投手によるもの。御園生崇男も1937年秋と1938年春にランクインしており、20シーズンの記録を残した投手は18人である[1][14]。

◇2020年の菅野は120試合制のシーズンで14勝2敗

2020年は感染症流行の影響でセ・リーグの公式戦が120試合制となった。その年の菅野智之は14勝2敗で勝率.875、リーグ最多勝・勝率1位となった。チームのシーズン試合数が違う年を同じ勝率として比べる場合、勝敗機会の数や登板環境も確認しておきたい[7][16]。

◇2007年の成瀬は防御率でもリーグ1位

成瀬善久は2007年に16勝1敗、勝率.941を記録した。同年の防御率も1.82でパ・リーグ1位。チームの勝敗に左右される勝率だけでなく、失点を抑える防御率でも高い成績を残した。2005年の斉藤と同じ16勝1敗だが、年度や所属、打撃環境は異なる[1][15]。

このランキングで分かること

投手の勝率は、勝ち負けが決まった登板のうち何割を勝利にしたかを示す。同じ勝率1.000でも6勝0敗と24勝0敗があり、勝率.905でも19勝2敗と38勝4敗が並ぶ。勝率を見れば「負けにくさ」が見える一方、勝利数・登板数・規定・同年リーグ2位との差を重ねなければ、その記録がどれほど異例だったかは分からない。

◇集計条件と注意

NPB公式「勝率【シーズン記録】」の歴代TOP20を掲載。「勝率.860以上(各シーズン規定以上)」の公式対象に従い、1936年秋などの分割シーズンを含む。勝率は勝利÷(勝利+敗戦)で計算し、勝敗が決まらない登板は分母に入れない。同率はNPB公式表示を優先する。近年の勝率第一位投手の表彰資格は年度によって別の規定がある。歴代TOP20をNPB公式で確認した日:2026年10月9日[1][8]。

何がすごいのか

  • 勝率1.000の歴代1位タイは4シーズン。6勝0敗から24勝0敗まで勝利数は4倍違う。
  • 1938年秋の19勝2敗と1959年の38勝4敗は同じ.905。勝率の順位だけでは勝利数の規模が分からない。
  • 2025年は表示勝率.800の投手がいても、13勝以上のタイトル条件により.722の投手が勝率第一位投手となった。

出典