詳細
◇13失点した投手が自分で9打点
川崎は16安打を浴び、そのうち8本が本塁打だった。一方、打席では5打数4安打、3本塁打、9打点。巨人の15打点のうち6割を投手本人が記録した。大量失点を打線が取り返した試合だが、その打線の中心に川崎自身がいた。[A2][B1][B2]
勝利数には、味方の援護という運が絡む。この試合は、その運で勝ちが転がり込んだ例ではない。13失点を喫した本人が9打点を挙げ、空けた穴の多くを自分のバットで埋めている。
◇試合のスコアボード
1949年4月26日 巨人対大映4回戦 石川県営兼六園球場 観衆約2万人。[A2][B1][B2]
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 大映 | 4 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 | 13 | 16 | 3 |
| 巨人 | 0 | 2 | 5 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | × | 15 | 17 | 0 |
R 得点 H 安打 E 失策 × 巨人がリードしており9回裏の攻撃は行わなかった。[B1][B2]
◇終盤に逆転してから最終回を投げ切る
3回終了時は7対5で巨人がリードしたが、4回に同点、7回に大映が勝ち越した。巨人も7回裏に2点を取り返し、8回表に4失点して9対12。8回裏に6点を奪い、15対12と逆転した。[B1][B2]
川崎は2回に2点適時打、3回に満塁本塁打、7回に2ラン、8回にソロを放った。8回の6得点は川崎のソロ、白石敏男の2ラン、山川喜作の3ランによるもの。川崎は9回にさらに1点を失ったが、2点差を残して試合を終えた。[B2]
◇投球結果
| 球団 | 投手 | 区分 | 投球回 | 打者 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 巨人 | 川崎徳次 | 先発 勝 | 9 | 45 | 16 | 5 | 4 | 13 | 13 |
| 大映 | 池田善蔵 | 先発 | — | 43 | 13 | 4 | 8 | 12 | 10 |
| 大映 | 河村章 | 救援 | — | 6 | 4 | 0 | 0 | 3 | 3 |
川崎の13失点はすべて自責点。巨人の失策も0で、失策によって失点数だけが膨らんだ記録ではない。[B1][B2]
資料注記 大映投手の投球回と敗戦投手は、B1とB2で記載が一致しないため掲載を見送った。池田の12失点、河村の3失点はB2による。打者・被安打・奪三振・四死球・自責点は両資料で一致する。球数は確認できない。詳細表は一次資料の原票ではなく、公開された試合記録2資料からの整理である。
◇本塁打が出やすい球場だった
兼六園球場は1948年9月に拡張されていたが、この試合時点でも両翼90メートル、中堅97メートルと小さかった。初期の両翼85メートル、中堅90メートルのままではない。両軍合計13本塁打という打ち合いには、この球場の条件が関わったと考えられる。[A2]
◇巨人のオーダーと打撃結果
| 順 | 守備 | 選手 | 打数 | 安打 | 打点 | 打席順の打撃結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 二 | 千葉茂 | 5 | 3 | 0 | 遊ゴ / 四球 / 右安 / 中安 / 三振 / 右安 |
| 2 | 遊 | 白石敏男 | 5 | 2 | 2 | 三ゴ / 三ゴ / 遊安 / 右飛 / 四球 / 中本② |
| 3 | 中 | 青田昇 | 6 | 3 | 0 | 三振 / 遊安 / 左飛 / 一邪飛 / 左中二 / 左安 |
| 4 | 一 | 川上哲治 | 4 | 0 | 0 | 死球 / 中飛 / 遊飛 / 三ゴ失 / 四球 / 中飛 |
| 5 | 左 | 平山菊二 | 4 | 2 | 0 | 左安 / 左安 / 遊ゴ / 捕飛 / 四球 |
| 6 | 三 | 山川喜作 | 4 | 2 | 3 | 三振 / 四球 / 三安 / 右飛 / 中本③ |
| 7 | 右 | 萩原寛 | 4 | 0 | 0 | 遊ゴ / 二飛 / 右飛 / 遊ゴ失 |
| ↳ | 右 | 小松原博喜 | 1 | 1 | 0 | 右安 |
| 8 | 捕 | 藤原鉄之助 | 3 | 0 | 1 | 四球 / 四球① / 遊飛 / 中飛 / 遊ゴ併 |
| 9 | 投 | 川崎徳次 | 5 | 4 | 9 | 右安② / 中本④ / 三振 / 右本② / 中本① |
チーム合計 41打数17安打 15打点 5本塁打
二 二塁打 安 単打 本 本塁打 飛 フライ 邪飛 ファウルフライ ゴ ゴロ ゴ併 ゴロ併殺 失 失策による出塁。守備欄は先発時の位置、途中出場は代打または交代後の位置を示す。
◇9番投手が最大の打撃貢献
川崎の3本塁打は満塁、2ラン、ソロで計7打点。2回の適時打の2打点を加えて9打点になる。3番青田、4番川上、5番平山の打点は全員0で、得点を生み出す中心は通常の主軸とは違っていた。[B1][B2]
◇大映のオーダーと打撃結果
| 順 | 守備 | 選手 | 打数 | 安打 | 打点 | 打席順の打撃結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 三 | 伊賀上良平 | 4 | 3 | 4 | 右邪飛 / 二安 / 左本② / 四球 / 右本② |
| 2 | 遊 | 三村勲 | 5 | 3 | 1 | 右本① / 右安 / 左飛 / 右飛 / 遊安 |
| 3 | 中 | 小鶴誠 | 4 | 2 | 2 | 四球 / 右飛 / 三邪飛 / 左安 / 中本② |
| 4 | 左 | 加藤正二 | 5 | 1 | 2 | 右本② / 右飛 / 中飛 / 三ゴ併 / 三振 |
| 5 | 一 | 大岡虎雄 | 5 | 1 | 1 | 右飛 / 右飛 / 二ゴ / 右本① / 右飛 |
| 6 | 右 | 飯島滋弥 | 5 | 4 | 2 | 右二 / 右本① / 三飛 / 右二 / 中本① |
| 7 | 二 | 酒沢政夫 | 4 | 1 | 1 | 右安① / 二飛 / 中飛 / 投ゴ / 四球 |
| 8 | 捕 | 伊勢川真澄 | 4 | 0 | 0 | 三振 / 捕邪飛 / 一飛 / 四球 / 二ゴ併 |
| 9 | 投 | 池田善蔵 | 4 | 1 | 0 | 三振 / 右安 / 三振 / 三振 |
| ↳ | 投 | 河村章 | 0 | 0 | 0 | |
| ↳ | 打 | 渡辺一衛 | 1 | 0 | 0 | 一ゴ |
チーム合計 41打数16安打 13打点 8本塁打
二 二塁打 安 単打 本 本塁打 飛 フライ 邪飛 ファウルフライ ゴ ゴロ ゴ併 ゴロ併殺 失 失策による出塁。守備欄は先発時の位置、途中出場は代打または交代後の位置を示す。
◇8本の本塁打を打っても敗戦
大映は三村、加藤、大岡、小鶴が各1本、伊賀上と飯島が各2本を放った。大映だけで8本、巨人が5本。大量の本塁打を浴びた川崎も降板せず、双方の打撃力が勝敗を左右した。[A2][B1][B2]
救援投手はどう考えるか
本稿は先発・救援を含む最多失点を主題とし、その記録保持者が先発完投だったため、先発の試合をメインにした。救援限定の歴代最多失点は、確認した資料では確定できず、別の最多数字は載せない。
救援投手にも、失点数だけを理由に勝ちを禁止する一律の上限はない。ただし、短い救援登板で効果的な投球をしなかった場合には、後続投手へ勝ちを与える例外がある。先発が必要な投球回を満たさず複数の救援が投げた場合も、記録員が最も効果的だった投手を選ぶ。「味方さえ逆転すれば、どの救援投手にも必ず勝ちが付く」とは限らない。[A3]
確認日 2026年10月5日。最多記録の結論はNPBの公式解説に基づく。一般公開の歴史的試合記録を突き合わせて詳細表を作成したが、大映投手の投球回・敗戦投手には資料差が残るため断定していない。