1試合で最も多くの投手を起用したチーム

次から次へと新しい投手がマウンドへ。そしてブルペンには誰もいなくなった…

一般的には?

先発が最後まで投げれば、登板したのは1人。先発の後に中継ぎ2人と抑えを使えば4人になる。ここで数えるのは交代の回数ではなく、実際に登板した選手の人数だ。野手の登板も含め、同じ選手が別の守備位置を経てマウンドへ戻っても、重ねて数えない。

2007年中日の平均
約3.74人

答え

1試合の登板人数(一軍公式戦)10人

レギュラーシーズンの一軍公式戦では、1チーム10人が最多。最初は1966年の中日で、延長戦も含めて複数のチームが並んでいる。オールスターを含めると、2022年の全パには11人登板の記録がある[A1][A2][B1]。

年
1966年 1974年 2007年 2013年 2022年 2025年 2026年
チーム
中日ドラゴンズ(1966年) 日本ハムファイターズ(1974年) 中日ドラゴンズ(2007年) 福岡ソフトバンクホークス(2013年) 福岡ソフトバンクホークス(2022年) 北海道日本ハムファイターズ(2025年) オリックス・バファローズ(2025年) 読売ジャイアンツ(2026年) 阪神タイガース(2026年)
カテゴリ
チーム・試合

普通と比べると

2007年中日の平均
約3.74人
1試合の最多人数
10人

平均の約2.67倍

計算:2007年の中日所属選手の一軍公式戦登板数を合計すると539。全144試合(引き分け2試合、交流戦を含む)で割り、539÷144=3.743…人。10÷(539÷144)=2.6716…倍。先発・救援とも含み、登板のない野手は加算しない。球宴・ポストシーズン・二軍は含まない[A3][A4]。

詳細

◇同じ年の平均と記録の一覧

◇普段の中日と比べると

代表例として詳しく見る2007年10月4日の中日は、同年のチーム平均の約2.67倍の人数を起用した。延長がない試合も含めた日常的な起用人数との比較であり、延長12回に限定した平均ではない[A3][A4]。

計算:2007年の中日所属選手の一軍公式戦登板数を合計すると539。全144試合(引き分け2試合、交流戦を含む)で割り、539÷144=3.743…人。10÷(539÷144)=2.6716…倍。先発・救援とも含み、登板のない野手は加算しない。球宴・ポストシーズン・二軍は含まない[A3][A4]。

◇10人が登板した試合

同数の記録を達成日順に並べる[A1][A2][B1][B2]。

日付記録したチーム対戦相手試合の長さ
1966-09-18中日巨人9回
1974-09-29日本ハム南海9回
2007-10-04中日広島延長12回
2013-09-04ソフトバンク日本ハム延長12回
2022-09-19ソフトバンクオリックス延長10回
2025-05-07日本ハムオリックス延長12回
2025-08-26オリックスロッテ延長12回
2026-09-05巨人広島延長11回
2026-09-14巨人DeNA延長12回
2026-09-22阪神ヤクルト延長11回

一覧の到達範囲はNPB「2026年シーズンの記録の回顧」の2026年9月28日現在に合わせた。同資料は9月22日の阪神を、9回試合を含めたプロ野球10度目と記載している[A2]。

◇詳しく見るのは延長の末に勝った試合

ここからは、公式の投打成績と各打席の結果を確認できる2007年の中日戦を中心に見る。続いて、野手の登板が含まれる1974年の日本ハム、球宴で11人を使った2022年の全パを比較する。同じ「多人数の継投」でも、人数が増えた事情はそれぞれ違う。

◇接戦のまま増えていった登板人数

2007年10月4日 中日対広島24回戦 ナゴヤドーム。中日3-2広島、延長12回サヨナラ。試合時間4時間9分、観衆37,964人[A5]。

チーム123456789101112RHE
広島000010000010260
中日000000100011X380

勝利:岩瀬仁紀 敗戦:齊藤悠葵 本塁打:森野将彦17号ソロ(7回、高橋建から)[A5]

◇先発は5回1失点で交代

川上憲伸は5回76球、3安打1失点。5回裏に代打の新井良太を送られ、6回から救援陣へつないだ。6回はデニーが打者1人を抑え、その後を平井正史が締める。7回クルス、8回岡本真也、9回鈴木義広と続き、9回までにすでに6人が登板していた[A5][B3]。

◇追いつくたびに続いた延長戦

中日は7回に森野の本塁打で追いついたが、9回まで勝ち越せず、1-1で延長へ。10回を石井裕也が抑え、11回には久本祐一が暴投で勝ち越しを許した。その裏、満塁で平田良介が押し出し死球を受け、再び同点となる[A5][B3][B4]。

12回は高橋聡文が2アウトを取り、岩瀬へ交代。これで中日側だけで10人になった。岩瀬が無失点でつなぐと、その裏に井端弘和が二死二塁から中前適時打。長い試合をサヨナラで終わらせた[A5][B3][B4]。

◇なぜ10人になったのか

記録から確実に読み取れるのは、先発を5回で替え、救援を短くつないだところへ、延長3イニングが加わったことだ。6回と12回には1イニングを2人で分担し、救援9人のうち複数イニングを投げた選手はいない。これが登板人数を押し上げた[A5][B3]。

失点したのは川上と久本だけで、10人中8人は無失点。6〜9回の広島打線は3者凡退が続いた。それでも交代を重ねており、投手が次々と失点して降板した試合ではない[A5][B3]。

◇継投順と投球結果

2007年10月4日の投球結果[A5][B3]。

中日 10人
順投手登板場面回球数打者安打四球死球三振失点自責
1川上憲伸1回〜5回57620320411
2デニー6回先頭1/331000000
3平井正史6回1死2/372000100
4クルス7回1143000000
5岡本真也8回1163000200
6鈴木義広9回183000000
7石井裕也10回1134110000
8久本祐一11回1237130011
9高橋聡文12回先頭2/3112000100
10岩瀬仁紀(勝)12回2死1/3122100000

合計:12回、193球、打者47人、6安打、6四球、0死球、8奪三振、2失点・自責2。デニーの登板は3球、岩瀬は2打者に12球だった[A5][B3]。

広島 9人
順投手登板場面回球数打者安打四球死球三振失点自責
1高橋建1回〜7回79625410511
2宮崎充登8回先頭2/3113010000
3青木高広8回2死041010000
4青木勇人8回2死1/331000000
5横山竜士9回1185110000
6永川勝浩10回〜11回0死1215110011
7佐竹健太11回0死1/352010000
8林昌樹11回1死2/352001000
9齊藤悠葵(敗)12回2/3174200111

合計:11回2/3、180球、打者48人、8安打、6四球、1死球、6奪三振、3失点・自責3。青木高広は1打者に四球で、アウトを取らず交代。永川勝浩は11回に2打者を出塁させ、アウトを取る前に交代した[A5][B3]。

◇中日のオーダーと全打席結果

位置選手名打順打数安打打点打席結果
(二)荒木雅博15101回:遊ゴ/3回:遊ゴ/6回:二飛/8回:投犠打/10回:遊ゴ/12回:右安
(右)藤井淳志23001回:三ゴ/3回:三振/6回:遊ゴ
代打立浪和義0008回:四球
投鈴木義広000打席なし
投石井裕也10010回:捕邪
投久本祐一000打席なし
投高橋聡文000打席なし
投岩瀬仁紀000打席なし
代打小田幸平00012回:投犠打
(遊)井端弘和36311回:中安/4回:二ゴ/6回:遊ゴ/8回:二ゴ/11回:中安/12回:中安①
(一)T・ウッズ42001回:投ゴ/4回:四球/7回:遊ゴ/9回:四球/11回:四球
(三)森野将彦54112回:左飛/4回:二併/7回:右本①/9回:中飛/11回:投犠打
(左)李炳圭64302回:中安/5回:遊安/7回:三振/9回:左安/11回:敬遠
(中)平田良介74012回:三振/5回:三振/7回:二ゴ/9回:二ゴ/11回:死球①
(捕)谷繁元信82002回:三ゴ/5回:二飛
捕清水将海3008回:投ゴ/9回:中飛/11回:遊併
(投)川上憲伸91003回:三振
代打新井良太1005回:左飛
投デニー000打席なし
投平井正史000打席なし
投クルス000打席なし
投岡本真也000打席なし
代打中村紀洋0008回:四球
代走→右上田佳範20010回:中飛/12回:三振
合計38打数8安打3打点、6四球1死球、6三振、残塁10

平田の11回の死球は押し出しによる1打点。森野の7回の本塁打、井端の12回の中前安打も各1打点。小田は12回に犠打を決め、サヨナラ打の走者を二塁へ進めた[A5][B3]。

◇広島のオーダーと全打席結果

表記方法は中日と同じ。東出の5回の三ゴロが先制点、11回の勝ち越し点は暴投によるため、広島のチーム打点は1となる[A5][B3][B4]。

位置選手名打順打数安打打点打席結果
(二)東出輝裕13011回:左飛/3回:四球/5回:三ゴ①/8回:三振
代打井生崇光10011回:投ゴ
二山崎浩司11012回:中安
(中)アレックス25001回:三振/3回:右飛/5回:中飛/8回:三振/11回:四球/12回:遊ゴ
(一)栗原健太35201回:二安/3回:投ゴ/6回:三ゴ/9回:投ゴ/11回:右二
(三)新井貴浩44001回:右飛/4回:左飛/6回:三振/9回:遊ゴ/11回:敬遠
(左)前田智徳54002回:二ゴ/4回:右飛/6回:一ゴ/9回:二ゴ
左廣瀬純10011回:遊ゴ
(遊)梵英心62002回:四球/4回:三振/7回:一ゴ/10回:四球/11回:四球
(右)嶋重宣75102回:右邪/5回:左二/7回:二飛/10回:中飛/11回:遊ゴ
(捕)倉義和85202回:二ゴ/5回:左安/7回:左飛/10回:左安/12回:遊ゴ
(投)高橋建92003回:三振/5回:三振
代打喜田剛1008回:右飛
投宮崎充登000打席なし
投青木高広000打席なし
投青木勇人000打席なし
投横山竜士000打席なし
代打緒方孝市10010回:投併
投永川勝浩000打席なし
投佐竹健太000打席なし
投林昌樹000打席なし
代打石原慶幸10012回:三振
投齊藤悠葵000打席なし
合計41打数6安打1打点、6四球0死球、8三振、残塁9

「二安」は二塁手への内野安打、「左二」「右二」は二塁打。敬遠は四球に含む。表の「打席なし」は、その選手が出場したものの打席に立たなかったことを示す。

◇野手も登板した10人継投

1974年9月29日 日本ハム対南海 後楽園、ダブルヘッダー第2試合。日本ハム0-7南海[B5][B6]。

チーム123456789RHE
南海4111000007110
日本ハム000000000040

◇全ポジション出場と毎回の投手交代

この試合では、高橋博士が1回の一塁から、捕手、三塁、遊撃、二塁、左翼、中堅、右翼へと毎回守備位置を変え、9回に投手となった。打者1人を抑えて交代し、1試合で全9ポジションに出場した。週刊ベースボールの回顧によると、球団社長・三原脩の発案によるファンサービスだったという[B5]。

投手も1回から毎回交代し、9回だけ高橋と渡辺秀武の2人。合計10人になった。高橋を「野手だから」と除外すると9人になるが、本記事の条件では実際に投げた高橋も1人に数える[B5][B6]。

順投手登板場面回打者安打四死球三振自責
1鵜飼克雄1回184114
2皆川康夫2回143000
3保坂英二3回152111
4三浦政基4回151101
5野村収5回130010
6宇田東植6回130020
7森中通晴7回141000
8江田幸一8回130020
9高橋博士9回先頭1/310000
10渡辺秀武9回1死2/320010

合計:9回、打者38人、11安打、3四死球、8奪三振、自責6。上表の「自責」は失点とは異なり、チームの失点は7。四球と死球の内訳、球数は当該資料に掲載がないため、確認できる項目を示した。勝利投手は南海の野崎恒男で、こちらは1人で9回を完封した[B6]。

◇同じ最多でも事情は違う

2007年の中日は接戦が延長へ入り、投手の人数が増えた。1974年の日本ハムは、全ポジション出場という企画と毎回の交代が並行して進んだ例である。最多登板人数は、投手陣の不振の強さをそのまま表す数字ではない[A5][B5][B6]。

◇全ポジション出場の試合の先発オーダー

1974年9月29日第2試合の先発打順。位置は試合開始時。成績は先発選手本人のこの試合全体の数字で、交代選手の分は含めていない[B6]。

日本ハム
位置選手名打順打数安打打点四死球三振
(中)島津佳一141001
(右)千藤三樹男220000
(一)高橋博士341000
(捕)大沢勉400000
(左)岡持和彦540001
(遊)相本和則631000
(三)八重沢憲一740002
(投)鵜飼克雄800000
(二)新屋晃900000
南海
位置選手名打順打数安打打点四死球三振
(中)島野育夫153001
(二)鶴崎茂樹242000
(右)門田博光342400
(左)R.ロリッチ422300
(一)佐藤道郎500000
(三)柏原純一641000
(遊)定岡智秋730013
(捕)松本芳之840002
(投)野崎恒男930011

高橋博士は4打数1安打。相手の門田博光は二塁打・三塁打を放って4打点、ロリッチは2本塁打で3打点を挙げた。野手が投げた珍しさに加え、攻撃では南海の2人が全7打点を記録した試合でもある[B6]。

◇球宴では11人が登板

2022年7月27日 オールスター第2戦 松山・坊っちゃんスタジアム。全パ2-1全セ。試合時間2時間43分、入場者25,230人[A6]。

チーム123456789RHE
全パ010001000291
全セ1000000001100

◇最後の1イニングを守護神3人で

全パは8回まで毎回1人ずつ、9回はモイネロ、松井裕樹、益田直也が1アウトずつ取った。これで延長を使わず11人に到達し、それまでの球宴記録9人を更新した。NPB公式記録員のコラムも、最後の回を3人の守護神で分けた球宴らしい継投として紹介している[A1]。

佐々木朗希が初回に1点を失った後は、残る10人が無失点。6回の柳田悠岐のソロ本塁打で得たリードを守った。多くの投手をファンに見せる球宴の継投であり、通常の公式戦での10人と同じ表に混ぜず、別枠で示す[A1][A6]。

順投手登板場面回球数打者安打四球死球三振失点自責
1佐々木朗希1回1236300011
2本田圭佑2回1144100100
3山本由伸3回1145100100
4東浜巨4回163000000
5小野郁(勝)5回1153000100
6水上由伸6回1174100100
7岸孝之7回1205200100
8伊藤大海8回193000100
9モイネロ9回先頭1/341000100
10松井裕樹9回1死1/341000100
11益田直也(S)9回2死1/383200000

合計:9回、134球、打者38人、10安打、0四球、0死球、8奪三振、1失点・自責1。11人は全パだけの人数[A6]。

全セの継投:床田寛樹(2回1失点)→大野雄大(2回無失点)→伊藤将司(1回無失点)→岩崎優(1回1失点・敗戦)→栗林良吏(1回無失点)→R・マルティネス(1回無失点)→マクガフ(1回無失点)[A6]。

◇球宴の先発オーダー

2022年オールスター第2戦。位置は開始時で、成績は先発選手本人の試合全体の数字。交代選手の成績は加算していない。両軍とも指名打者を使用[A6]。

全パ
位置選手名打順所属打数安打打点
(三)清宮1(日)410
(左)グラシアル2(ソ)300
(指)柳田3(ソ)321
(一)レアード4(ロ)300
(右)島内5(楽)410
(二)牧原大6(ソ)320
(中)髙部7(ロ)410
(捕)松川8(ロ)311
(遊)小深田9(楽)300
全セ
位置選手名打順所属打数安打打点
(中)塩見1(ヤ)300
(左)ウォーカー2(巨)310
(指)山田3(ヤ)310
(三)村上4(ヤ)220
(右)佐藤輝5(神)301
(一)大山6(神)200
(捕)中村7(ヤ)200
(遊)長岡8(ヤ)210
(二)小園9(広)200

全パは2回に松川虎生の適時打で同点、6回に柳田の本塁打で勝ち越し。全セの得点は初回の佐藤輝明の犠飛。柳田は3打数2安打1打点、全セの先発4番・村上宗隆は2打数2安打だった[A6]。

集計条件と出典

◇人数の数え方と対象範囲

主記録はNPB一軍のレギュラーシーズン公式戦。延長戦と野手登板を含む。投手が他の守備位置へ移ってから再登板しても、同じ選手は1人と数える。投球回0の登板も含み、出場しただけで投げていない選手は含めない。相手チームの投手数は合算しない。

球宴は別枠で掲載。日本シリーズ・クライマックスシリーズ、オープン戦、二軍、独立リーグ、MLBを混ぜた「すべての野球の世界記録」を意味しない。一軍公式戦の達成一覧は2026年9月28日現在のNPB公表資料に合わせ、資料確認日は2026年10月5日とした。

注意:NPBの2022年記録員コラムにある公式戦の「2度」は、末尾にある条件のとおり延長戦を除いた数字。延長を含む本記事の一覧は、他年度のNPB記録と試合資料も合わせて確認した[A1][A2][B1][B2]。

確認日:以下はいずれも2026年10月5日。AはNPB公式、Bは報道・回顧記事および民間記録集。表は各資料の数値から作成し、平均・合計・人数内訳は本記事で計算した。

何がすごいのか

  • 最多人数でも、大量失点した試合とは限らない。代表例の中日は12回を2失点で勝った。
  • 野手の全ポジション出場と毎回の交代で、9回だけで最多に並んだ例もある。
  • 球宴では、最後の1イニングを3人で分けて11人に到達した。

出典