引き分けは最多何試合連続した?

全然決着が付かない。今日も昨日も一昨日も。

一般的には?

引き分けは、同点のまま試合終了が宣告された試合。比較用に一つのリーグの一シーズンを集計すると、引き分けが続く区間は平均1.11試合だった。1試合だけで終わる区間も含む。試合のない日は連続を切らず、九回終了時点で同点でも、その後に勝敗が決まれば引き分けではない[A9]。

2021年パ・リーグの平均連続引き分け試合数
1.11試合

答え

引き分けの最多連続試合数3試合連続

答えは3試合連続。複数球団が並ぶプロ野球最多タイ記録で、本稿では2021年4月25日、27日、28日のオリックス・バファローズを取り上げる。日本ハムに4対4、楽天に5対5、0対0と引き分け、次の4月30日のソフトバンク戦は5対4でサヨナラ勝ちした[B1][A1][A2][A3][A4]。

年
2021年
チーム
オリックス・バファローズ ほか
カテゴリ
チーム・試合

普通と比べると

2021年パ・リーグの平均連続引き分け試合数
1.11試合
引き分けの最多連続試合数
3試合

平均より1.89試合長く、約2.70倍。

2021年パ・リーグ6球団の全公式戦を球団ごとに日付順に並べ、引き分けだけが続く最大のまとまりを1件とする。1試合だけの引き分けも含む。1試合のまとまり90件、2試合9件、3試合1件で、引き分け111球団試合÷100件=1.11試合。交流戦を含み、同一の引き分けは対戦したパの各球団にそれぞれ計上。試合のない日は区切らない。各球団143試合、引分合計111を年度別表と照合。約2.70倍は3÷1.11。全歴代の平均ではない。集計日:2026年10月11日[A5][A9]。

詳細

◇二度の逃げ切り失敗から、最後は0対0

2021年のオリックスは、4月25日の日本ハム戦、27日と28日の楽天戦で決着がつかなかった。26日は試合がなく、29日の楽天戦は緊急事態宣言の発令に伴って延期。雨天中止ではなく、球団が26日に延期を発表した日程である。連続を止めた「次の試合」は30日のソフトバンク戦となる[A1][A2][A3][A4][A7]。

25日と27日は、いずれもオリックスが九回に追いつかれた。28日は山本由伸と則本昂大を中心とする投手戦で、最後まで両軍が得点できなかった。引き分けという結果だけを並べても、その過程は一様ではない[A1][A2][A3]。

連続3試合と、記録が途切れた次の試合

以下はすべて2021年。Rは得点、Hは安打、Eは失策。9回制で、延長はない。2Xは九回裏に2点を挙げてサヨナラで終了したことを示す。試合のイニング別得点、安打、失策はNPB公式記録[A1]~[A4]。

球団名123456789RHE
オリックス0100000304121
北海道日本ハム300000001450
球団名123456789RHE
東北楽天0001000135100
オリックス010101020581
球団名123456789RHE
東北楽天000000000031
オリックス000000000020
球団名123456789RHE
福岡ソフトバンク200200000481
オリックス011000012X5100

初戦は八回の逆転を、近藤の一発が消した

4月25日、オリックス先発の竹安大知は初回に3点を失った。打線は二回にT-岡田の犠飛で1点を返し、八回には紅林弘太郎と代打ジョーンズの適時打、T-岡田の犠飛で3点を挙げ、4対3と逆転した[A1][A10]。

しかし九回裏、ヒギンスが近藤健介に4号ソロを浴びて4対4。さらに二死一、二塁のピンチとなったが、比嘉幹貴が代打の今川優馬を打ち取った。オリックスは12安打、日本ハムは5安打。安打数で大きく上回っても勝利には届かなかった[A1][A10]。

2試合目は九回に3点差がなくなった

4月27日、オリックスは二回と四回に1点ずつ、六回にモヤの2号ソロで加点。八回表に1点を返された後、裏に杉本裕太郎が4号2ランを放ち、5対2で九回を迎えた。先発の田嶋大樹は7回6安打1失点、7奪三振だった[A2][A11]。

九回表はK-鈴木の四球と失策などで走者がたまり、山田修義に交代してからも四球で満塁に。鈴木大地と島内宏明の適時打で楽天が3点を奪い、5対5となった。鈴木大地は5打数4安打。オリックスにとって、2試合続けて最後の守りで勝ちが消える展開となった[A2][A11]。

◇3試合目は、96球で投げ切った山本由伸

詳しく追うのは4月28日の楽天戦。京セラD大阪で18時に始まり、20時12分に終わった2時間12分の試合だった。山本由伸は9回を96球、打者30人、3安打、1四球、5奪三振、無失点。則本昂大も8回を98球、2安打、1四球、6奪三振、無失点と応じた[A3][A12][A13]。

一回表、小深田大翔の二塁打を足場に楽天は一死三塁の好機をつくったが、山本は島内と浅村栄斗を抑えた。二回から五回までは走者を許さず、六回は太田光の安打などで二死二塁とされたものの無失点で切り抜けた[A12]。

オリックスの安打は、一回の吉田正尚の単打と、五回の紅林の二塁打の2本だけ。則本を攻略できないまま九回を迎えた。楽天は松井裕樹に継投し、オリックスは二つの四球で二死一、二塁としたが、最後はT-岡田が見逃し三振。0対0のまま試合が終わった[A3][A12]。

9回無失点完投でも、完封勝利ではない

球団名選手名投球回球数打者被安打四球死球奪三振自責点
オリックス山本由伸9963031050
楽天則本昂大8982821060
楽天松井裕樹1—502010

当日の全登板投手。球数はパ・リーグ公式動画の表示、その他はNPB公式試合記録。松井の球数は採用資料で未確認。勝利・敗北・セーブは付いていない。山本は完投だが引き分けなので「完封勝」には数えない[A3][A13]。

両軍のオーダーと当日の打撃成績

先発は打順で並べ、途中出場者は同じ打順の下に続けた。括弧内が先発の位置、その後の位置は守備変更。「代打」「代走」は途中出場の役割で、試合合計の成績を掲載する。各打席の詳細結果をすべて復元した表ではない[A3]。

◇オリックスバファローズ

打順位置・役割選手名打数安打打点四球死球三振
1(中)宗佑磨400000
2(遊)安達了一300100
3(指)吉田正尚410000
4(右)杉本裕太郎300101
4代走佐野皓大000000
5(一)モヤ300002
5左小田裕也000000
5代打ジョーンズ000100
5代走山足達也000000
6(左)→一T-岡田400002
7(捕)頓宮裕真300000
8(二)太田椋200001
8代打伏見寅威100001
8二大城滉二000000
9(三)紅林弘太郎310000

◇東北楽天ゴールデンイーグルス

打順位置・役割選手名打数安打打点四球死球三振
1(遊)小深田大翔310000
2(一)鈴木大地400000
3(左)島内宏明400000
3右田中和基000000
4(二)浅村栄斗200101
5(指)ディクソン300002
6(右)内田靖人300000
6右→左武藤敦貴000000
7(三)茂木栄五郎300000
8(中)辰己涼介300001
9(捕)太田光320001

◇連続を止めたのは、宗の逆転サヨナラ打

4月30日のソフトバンク戦は、二度追いついた後にオリックスが勝ち切った。初回に2点を失ったが、二回の太田椋、三回のモヤの適時打で2対2。四回に今宮健太の適時打で再び2点差とされ、八回には吉田正尚がモイネロから6号ソロを放って4対3に迫った[A4][A14]。

九回裏、頓宮と紅林の安打で一死一、二塁。宗佑磨が岩嵜翔の8球目を左翼へ運び、二人の走者がかえって5対4の逆転サヨナラとなった。宗は4打数1安打2打点、紅林は4打数3安打。漆原大晟に2勝目が付き、引き分けの連続も3試合で止まった[A4][A14]。

◇延長戦を行わない年だった

NPBは2021年3月22日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、シーズン中の延長戦を行わず九回で打ち切ると発表した。今回の3試合も、九回終了時点の同点がそのまま最終結果になった。延長があれば勝敗が決まる可能性はあるが、実際にどうなったかは分からない[A6]。

このルールは引き分けの機会を増やす背景として説明できる。しかし、3試合続いた直接の展開は、九回の同点本塁打、3点差からの同点打、両軍の無得点というそれぞれのプレーだった。単に「ルールだけで生まれた記録」とも、「投手力だけの記録」とも説明しきれない[A1][A2][A3][A6]。

同年の引き分けは、平均何試合続いたか

球団名引分まとまり数1試合2試合3試合平均試合数
オリックス181615011.13
ロッテ191613301.19
楽天151311201.15
ソフトバンク211815301.17
日本ハム201918101.05
西武181818001.00
合計11110090911.11

「まとまり」は引き分けが続く最大の区間。例えば引分、引分、勝利なら2試合のまとまり1件で、1試合を2件とは数えない。1試合だけの区間も含む。球団別の平均をさらに単純平均せず、全100件を等しく重み付けした。平均は小数第3位を四捨五入。パの球団同士の同じ引き分けは双方に1球団試合ずつ計上するため、111は重複のない実試合数ではない[A9]。

111÷100=1.11試合に対し、最多は3試合。差は1.89試合、倍率は約2.70倍。2021年の6球団では3試合の区間が一つだけあり、それが今回のオリックスだった。年間最多の引き分けを記録したのは21分けのソフトバンクで、連続記録と年間総数は異なる指標である[A5][A9]。

◇その年のオリックスは、リーグ優勝へ

最終成績は70勝55敗18分け、勝率.560の1位。2位ロッテとは2.5ゲーム差だった。打率.2471はリーグ最高、防御率3.31はソフトバンクに次ぐ2番目。春に勝利を逃した3試合だけで、年間のチーム力を評価することはできない[A5]。

順位球団名勝利敗北引分試合勝率ゲーム差打率得点安打本塁打盗塁防御率失点奪三振完封勝失策守備率
1オリックス705518143.560--.24715511160133503.3150010551975.986
2ロッテ675719143.5402.5.239358411041261073.67570953673.986
3楽天666215143.5165.5.2435321129108453.4050710981364.988
4ソフトバンク606221143.4928.5.24685641157132923.2549311991357.989
5日本ハム556820143.44714.0.231454106778773.325151061876.986
6西武557018143.44015.0.23945211107112843.94589947965.988

主力選手のシーズン成績

選手名試合打率安打本塁打打点盗塁出塁率
宗佑磨139.2721319428.335
安達了一100.259830185.351
吉田正尚110.33913221720.429
杉本裕太郎134.30114432833.378
モヤ106.2298113471.261
T-岡田115.2418617632.322
頓宮裕真46.232265140.298
太田椋53.17226391.194
紅林弘太郎136.22810210482.251
ジョーンズ72.234364230.339

当日先発と代打ジョーンズの2021年レギュラーシーズン合計。打率と出塁率は公式表示。当日のオーダー表とは期間が異なる[A15]。

吉田正尚は打率.339で首位打者、杉本裕太郎は32本塁打で本塁打王。この2人が、無得点の28日には合計7打数1安打、打点0だった。優れた年間成績の打者が並ぶ打線でも、好投手を攻略できない一日はある。年間成績を、その日の打席の説明にそのまま置き換えることはできない[A3][A5][A15]。

選手名登板勝利敗北セーブホールド完投完封勝投球回被安打四球死球奪三振失点自責点防御率
山本由伸261850064193 2/312440220637301.39
宮城大弥23134000014711839913144412.51
田嶋大樹24880000143 1/313748513562573.58
山岡泰輔1234000069 1/3642037430303.89
竹安大知1732000048 2/3481912626244.44
ヒギンス49122280046 1/3371913614132.53
比嘉幹貴32100110020 1/3144015441.77
平野佳寿4613293004330903711112.30

山本は18勝、防御率1.39、勝率.783、206奪三振で主要4部門のタイトルを獲得し、最優秀選手に選ばれた。宮城大弥は13勝、防御率2.51で最優秀新人。ヒギンスも年間では49登板、防御率2.53、28ホールドを残しており、今回の同点本塁打だけで救援投手としての働き全体を判断できない[A5][A16]。

歴代の同記録を並べる

日刊スポーツの2021年4月29日付一覧は、今回を「プロ野球10度目」と報じた。以下はその時点の10件で、同じカードで双方が記録した場合は球団ごとに別の1件。現在までの全件を独自に認定した一覧ではない[B1]。

年球団名1試合目2試合目3試合目
1943朝日9月13日 阪神9月15日 西鉄9月18日 大和
1964阪神8月21日 国鉄8月22日 大洋8月23日 大洋
1976太平洋4月18日 ロッテ 第1試合4月18日 ロッテ 第2試合4月22日 日本ハム
1976ロッテ5月28日 日本ハム5月29日 日本ハム5月30日 日本ハム
1976日本ハム5月28日 ロッテ5月29日 ロッテ5月30日 ロッテ
1977阪急4月24日 ロッテ 第1試合4月24日 ロッテ 第2試合4月26日 南海
2005巨人5月29日 オリックス5月31日 日本ハム6月1日 日本ハム
2008ソフトバンク8月29日 西武8月30日 西武8月31日 西武
2008西武8月29日 ソフトバンク8月30日 ソフトバンク8月31日 ソフトバンク
2021オリックス4月25日 日本ハム4月27日 楽天4月28日 楽天

球団名は当時の名称。1976年太平洋と1977年阪急はダブルヘッダーを含むため、同じ日付の2試合を別々に計上。1943年の西鉄と1976年の太平洋は、名称が似ても現在まで同一の球団史として扱わない。日付・対戦相手・10件の数え方は報道の一覧画像を転記した[B1]。

朝日の記録は9月13日から18日までにわたる。2005年の巨人は交流戦で対戦相手が変わっても3試合続き、2008年はソフトバンクと西武が同じ3試合で同時に記録した。今回のオリックスは1977年の阪急以来で、球団の系譜をさかのぼると44年ぶりとなる[B1]。

確認範囲と集計方法

対象は日本プロ野球の一軍レギュラーシーズン。交流戦を含み、二軍、オープン戦、ポストシーズン、海外リーグを含めない。引き分けとして成立した試合を数え、未成立の中止や延期は数えない。比較平均は2021年パ・リーグ限定で、全歴代の平均でも年間引分率でもない。年欄2021と球団欄は本文の代表例を示し、単独の記録保持者という意味ではない。確認日:2026年10月11日。

最多3試合は記録記事で確認。2026年のNPB公開記録回顧と更新に関する公開情報も確認したが、今回の調査で更新は見つからなかった。ただし、全年度・全球団・全試合を再集計した認定ではない。歴代一覧は2021年4月28日達成時点の10件に範囲を明示した[B1][A17]。

4試合のスコア、当日の個人打撃・投球、順位と年間投打守備成績はNPB公式を使用。試合経過はパ・リーグ公式記事、96球・98球は同公式試合ページの動画表示で補った。安打方向などは記事に確認できた範囲だけを記載し、未確認の打席結果、走者判断、心理、監督の意図は補わない[A1]~[A5][A8][A10]~[A16]。

何がすごいのか

  • 勝ちも負けも付かない試合が3つ続いた。オリックスは球団として阪急時代以来44年ぶりの記録だった[B1]。
  • 同年のパ・リーグ6球団では、引き分けのまとまり100件の平均は1.11試合。3試合連続は約2.70倍の長さだった[A9]。
  • 勝利目前から追いつかれた2試合と、両軍無得点の投手戦が続いた。同じ引き分けでも内容は異なっていた[A1][A2][A3]。

出典