詳細
記録を代表する一試合
2025年5月3日、広島対中日7回戦、マツダスタジアム。広島は2対0で勝利し、試合時間は2時間、入場者は32,118人だった。上の年・選手・チーム欄は、この試合を代表例として記したもの。歴代唯一の達成者を示すものではない[A1]。
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 |
| 広島 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | X | 2 | 5 | 0 |
Rは得点、Hは安打、Eは失策。Xは広島がリードしたまま九回表を終え、九回裏の攻撃を行わなかったことを示す。床田自身は9回を投げている[A1]。
27アウトを打球で取る
床田の投球は107球、打者30人、9回、被安打3、四球1、死球0、奪三振0、失点0、自責点0。中日先発の松葉貴大も7回を三振なしで投げ、2失点・自責点1だった。両軍を通じた唯一の三振は、八回裏に根尾昂が小園海斗から奪った空振り三振だった[A2][A3]。
公式の打席経過をアウト数で数え直すと、ゴロによるアウトが16個、飛球・ライナーによるアウトが11個。七回のカリステの遊ゴロ併殺打は2アウトとして数えた。この試合では、三振以外の27アウトをすべて打球の処理で取っている[A3]。
中日の安打は二回の中田翔の中前打、六回の岡林勇希の二塁内野安打、七回の上林誠知の三塁へのバント安打だけ。七回の走者は併殺で消え、九回二死から細川成也に与えた四球も得点にはつながらなかった。許した4人の走者はいずれも二塁へ進めず、最後は上林の中飛で試合を閉じた[A3]。
打線の援護は三回の中村奨成の右前適時打と、六回の末包昇大の左前適時打。三回は堂林翔太の安打、矢野雅哉の犠打、床田自身の二塁ゴロで走者を三塁へ進め、先制点につなげた[A3]。
両軍のオーダーと全打席結果
下表は打順順に先発と途中出場選手を並べ、打席結果を時間順にまとめた。各結果の括弧はイニング、丸数字は打点。途中で攻撃が終わり打席が完了しなかった場合は、完了した打席結果に含めない[A2][A3]。
| 位置 | 選手名 | 打撃結果 |
|---|---|---|
| (中) | 岡林勇希 | 一直(1)/三ゴ(3)/二安(6)/一ゴ(9) |
| (二) | 山本泰寛 | 投ゴ(1)/二ゴ(4)/投ゴ(6) |
| 代打 | 細川成也 | 四球(9) |
| (右) | 上林誠知 | 一ゴ(1)/二飛(4)/三バ安(7)/中飛(9) |
| (三) | ジェイソン・ボスラー | 三飛(2)/左飛(4)/右飛(7) |
| (左) | オルランド・カリステ | 投ゴ(2)/三ゴ(5)/遊併打(7) |
| (一) | 中田翔 | 中安(2)/三ゴ(5)/中飛(8) |
| (捕) | 木下拓哉 | 左飛(2)/右飛(5)/三ゴ(8) |
| (遊) | 土田龍空 | 右飛(3)/右飛(6) |
| 代打 | ブライト健太 | 三ゴ(8) |
| (遊) | クリスチャン・ロドリゲス | 打席なし |
| (投) | 松葉貴大 | 遊ゴ(3)/二ゴ(6) |
| (投) | 根尾昂 | 打席なし |
| 代打 | 高橋周平 | 遊ゴ(9) |
| 合計 | 29打数3安打、0得点、0打点、1四球、0死球、0三振 |
中日は29打数3安打、0得点、0打点、1四球、0死球、0三振。安打だけが赤字表示の対象。八回に土田の代打でブライト、裏の守備からロドリゲスが遊撃に入った。九回の細川は山本の代打、高橋周平は根尾の代打[A2][A3]。
| 位置 | 選手名 | 打撃結果 |
|---|---|---|
| (中)→左 | 中村奨成 | 遊ゴ(1)/右安①(3)/遊ゴ失(6)/三邪飛(8) |
| (二) | 菊池涼介 | 三ゴ(1)/三ゴ(4)/右飛(6)/遊ゴ(8) |
| (三) | 小園海斗 | 左飛(1)/左飛(4)/四球(6)/空三振(8) |
| (三) | 二俣翔一 | 打席なし |
| (右) | 末包昇大 | 右飛(2)/三ゴ(4)/左安①(6) |
| (捕) | 坂倉将吾 | 遊飛(2)/右飛(5)/遊飛(6) |
| (左) | サンドロ・ファビアン | 一邪飛(2)/遊ゴ(5)/左線二(7) |
| 代走→中 | 大盛穂 | 打席なし |
| (一) | 堂林翔太 | 左安(3)/左安(5)/遊ゴ(7) |
| (遊) | 矢野雅哉 | 投犠打(3)/左飛(5)/三邪飛(7) |
| (投) | 床田寛樹 | 二ゴ(3)/遊ゴ(6)/二ゴ(7) |
| 合計 | 28打数5安打、2得点、2打点、1四球、0死球、1三振、1犠打 |
広島は28打数5安打、2得点、2打点、1四球、0死球、1三振、1犠打。三回の中村奨成の盗塁失敗で攻撃が終わった際、菊池の打席は未完了。七回のファビアンの二塁打後に大盛が代走で入り中堅へ、中村奨成は左翼へ移った。二俣は九回表から三塁[A2][A3]。
床田の成績に見える投球の特徴
床田は左投左打。2023年は156回で86奪三振、防御率2.19、11勝7敗。2024年は167回で95奪三振、防御率2.48、11勝9敗だった。9回換算の奪三振数はそれぞれ4.96個、5.12個。多くの三振を奪い続ける形でなくても、2年続けて11勝と防御率2点台以下を残していた[A8]。
記録を達成した2025年は26登板、9勝12敗、171回1/3、102奪三振、防御率3.15。6完投、3完封を記録した。9回換算の奪三振数は5.36個であり、シーズン全体でも奪三振を大量に積み上げる投球ではなかったことが数字からうかがえる。ただし、この0奪三振の一試合だけで投球内容の良し悪しを判断することはできない[A8]。
9回換算は奪三振×9÷投球回。171回1/3は171.333…回として計算し、小数第3位を四捨五入した。2026年の成績は加えず、記録当年までの確定成績で比較した[A8]。
三振を取りにいかない判断と連敗脱出
この勝利で広島は7連敗を止めた。床田は試合後、途中から三振を取れていないことに気づいたが、無理に三振を取りにいくと投球が崩れると考えていたと説明している。また、初回の岡林のライナーを好捕した堂林の守備が、落ち着いて試合に入る助けになったと振り返った。記録を狙ったというより、その試合で選んだ投球と守備の積み重ねが珍しい数字になった一戦だった[B1]。
過去にもある同数の完封勝利
NPBの公式資料で確認できる同数の例として、次の試合がある。すべて最少値の0奪三振だが、歴代全件を網羅したランキングではなく、日付の古い順に並べた確認例である[A5][A6][A7][A1]。
| 順位 | 選手名 | 球団・試合日 | 対戦相手・スコア | 投球回・奪三振 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 大脇照夫 | 国鉄/1956年5月3日 | 中日/5対0 | 9回・0個[A5] |
| 1 | 岩嵜翔 | ソフトバンク/2011年7月28日 | 楽天/2対0 | 9回・0個[A7] |
| 1 | 牧田和久 | 西武/2013年4月23日 | ロッテ/8対0 | 9回・0個[A6] |
| 1 | 床田寛樹 | 広島/2025年5月3日 | 中日/2対0 | 9回・0個[A1] |
順位は4例とも同率1位。大脇照夫は80球、打者30人、四死球2、奪三振0でノーヒットノーランを達成した。安打すら許さず、三振も取らなかった例である[A5]。
短縮試合を含めた場合と記録の条件
雨天などによる九回未満の完封勝利を含めても、0個より少ない奪三振数にはならない。短縮試合を別枠にしても、奪三振数の最少値がこれより小さくなることはない。九回以上の実例だけで、最少値はすでに0個と確定できる[A1][A6][A7]。
対象はNPB一軍レギュラーシーズン公式戦で、先発投手が単独で9回以上を投げ切った完封勝利。継投完封、無失点引き分け、9回未満のコールドゲーム、二軍、オープン戦、オールスター、ポストシーズンは対象外。資料確認日は2026年10月10日。最少値は公式の達成例と数値の下限から確定したもので、同数達成者の全件数、初達成者、最新達成者は断定しない。
今回参照したデイリースポーツ記事は牧田の試合を「2013年4月13日」と記すが、NPB公式結果で0奪三振完封を確認できる日は4月23日。本文と表はNPB公式の日付に従った[A6][B2]。