最も多く盗塁を連続成功させた選手

盗塁は一度アウトになれば連続成功が途切れる。プロ野球では、失敗を挟まず何回連続で塁を奪った選手がいるのだろうか。

一般的には?

盗塁は速さだけでなく、投手の投球動作や捕手の送球を見極める必要がある。失敗が1度でも記録されれば、連続成功数はそこで途切れる。かつては32回の連続成功が最多と報じられていた[1]。それを超えた選手がいる。

従来の連続成功最多
32回

答え

連続盗塁成功38回

答えは38回。東京ヤクルトスワローズの山田哲人が、2018年8月26日から2019年9月4日まで盗塁死を挟まず38回連続で成功させ、9月14日の盗塁失敗で記録が止まった[2][3]。

年
2018年 2019年
選手
山田哲人
チーム
東京ヤクルトスワローズ
カテゴリ
守備・走塁

普通と比べると

従来の連続成功最多
32回
更新後の最多
38回

従来最多より6回多い。

従来の32回は福田秀平の2011~2015年にまたがる記録。山田哲人の38回は2018~2019年にまたがる。成功「回数」で比べ、連続試合盗塁記録や同一カード記録とは区別する[1][2]。

詳細

記録が始まったのは前年の盗塁死から

山田哲人の連続成功の直前には、2018年8月22日、広島との公式戦(マツダスタジアム)で盗塁失敗があった。8回に二塁を狙い、広島の捕手・會澤翼に阻止されたという。試合は広島が7対4で勝利し、NPBの試合記録でも會澤が捕手として出場している[4][5]。

その後の最初の成功は8月26日、神宮球場のDeNA戦。3回裏、四球で一塁に出ると、バレンティンの打席の初球で二盗を成功させた。相手先発投手は今永昇太、捕手は嶺井博希。これが長い連続成功記録の起点となり、山田は2018年の残りで盗塁成功を5回積み上げた[6][7][2]。

同じ8月26日の5回にも山田は二盗を成功させたように見えたが、打者バレンティンのバットが捕手に接触した守備妨害のため一塁に戻された。公式の盗塁数に加算されず、連続成功の計算にも入らない。「走ったのに記録にならなかった」という珍しい場面もあった[8]。

◇翌シーズンも失敗ゼロが続いた

翌2019年、山田は開幕から33盗塁を続けて成功させた。8月21日の広島戦では二塁アウトの判定がリクエストで覆り、連続成功を32に伸ばす。8月23日の阪神戦で33回となって従来記録を更新し、9月4日の広島戦で38回に到達した[9][10][3]。

2019年9月8日時点のNPB公式コラムは、山田が相手捕手の肩よりも投手のクイックや隙を見てスタートする点に注目していた。結果として、2018年後半の5回と2019年の33回が結び付き、2シーズン越しの38回連続成功となった[11]。

38回で途切れた横浜の一戦

2019年9月14日、横浜スタジアムでのDeNA対ヤクルト25回戦。山田は「3番・二塁手」で先発し、1回表、併殺崩れの遊ゴロで一塁に残った。2死一塁、4番バレンティンの打席の初球で二盗を仕掛けた[5][12]。

マウンドはDeNA先発の上茶谷大河、捕手は伊藤光。伊藤の送球を二塁手ネフタリ・ソトが受けてタッチし、審判はアウトを宣告した。ヤクルトの小川淳司監督がリクエストしたものの判定は覆らず、38回の連続成功はそこで終わった。伊藤は記録を知ったうえでプレーしていたと語っている[12][13][14]。

この送球について伊藤は後に、後方へ構えて距離を稼ぐ通常の工夫をやめ、外角直球の場面で二塁への送球に集中した趣旨を明かしている。山田は一方で、自分の足がタッチより先に入ったと思ったと語り、際どい判定だったこともうかがえる[15][13]。

試合はDeNAが7対4で勝利。山田自身は9回に山﨑康晃から34号ソロ本塁打を放っている。盗塁の記録が途切れた日に、本塁打では存在感を見せたという対照的な一戦だった[12]。

◇その後は立て続けに失敗

9月14日の失敗に続き、15日の広島戦では會澤翼、18日の阪神戦では梅野隆太郎を相手に盗塁を阻止され、3回連続の盗塁死になったと試合別の集計・報道は伝える。9月18日は9回の盗塁死と記録されている。2019年の最終成績は33盗塁・盗塁刺3。記録が続いていた時の成功率100%は、最終的に91.7%(33÷36)となった[3][16][17]。

あわせて読む記録の歴史NPBシーズン盗塁ランキングTOP201シーズンで最も多く盗塁した選手は誰なのか。歴代の走塁記録を、出場試合数・盗塁成功率や、同じ年のチームの記録とともに比べる。

歴代の記録と成功の背景

連続盗塁成功は、同じ日に2回盗塁を決めれば2回と数え、盗塁しない試合を挟んでも途切れない。シーズンをまたぐ記録も一つの連続として扱う。下表は2019年にNumber Webが掲載した歴代上位の比較を、山田の最終到達点に更新したもの。2019年以降の全選手の盗塁企図を再集計した公式の最新順位表ではない[1][2]。

主な連続盗塁成功記録[1][2]
順位選手名連続成功記録期間球団・備考
1山田哲人38回2018~2019ヤクルト/2019年の33回はシーズン記録
2福田秀平32回2011~2015ソフトバンク/5年にまたがる
3広瀬叔功31回1964南海/単一シーズン
4呉昌征29回1943巨人
5飯田哲也27回1992ヤクルト

過去の上位数値は2019年8月時点のNumber Web掲載資料、1位は同年9月に到達した最終値。年度をまたぐ記録も対象。1930~40年代の計測条件・盗塁刺の扱いには資料上の限界があるため、古い記録を含む完全順位表とは断定しない[1]。

◇速さだけでなく、走る場面を見極めた

山田は2015年、2016年、2018年に「打率3割・30本塁打・30盗塁」のトリプルスリーを達成し、打撃の中心を担いながら走塁でも強みを発揮した。2019年のNPB公式成績は142試合、打率.271、35本塁打、98打点、33盗塁。連続成功は、出塁機会の多さと高い成功率がかみ合った成果とも考えられる[18][11]。

翌年に伊藤光が振り返ったところでは、2019年の山田は盗塁企図36回のうち24回がバレンティンの打席で、その24回中22回成功していたという。ただし山田自身は、特定打者の打席よりも自分の構えとスタートの遅れを防ぐことに意識を置いていたとされる[15]。

比較対象の福田秀平は、出場機会や故障をはさみながら2011〜2015年に32回成功。南海の広瀬叔功は1964年の1シーズンに31回成功した。古い資料ではシーズンまたぎの記録を「参考記録」と呼ぶ例もあるため、集計対象の違いに注意したい[1][19]。

対象はNPB一軍公式戦の「盗塁成功」の連続回数で、盗塁刺が記録されれば中断する。年度境界・盗塁しなかった試合は中断とみなさない。連続「試合」盗塁、同一カード内の連続成功、牽制死だけによる走塁アウトとは区別する。歴代順位は2019年当時の報道による上位5例であり、2026年まで全選手を網羅して再検算した順位表ではない。資料確認日:2026年10月10日。

何がすごいのか

  • 2つのシーズンにまたがって38回連続成功。2019年だけでも33回続き、1シーズンの従来記録も更新した[2][3]。
  • 記録最後の一球では、伊藤光の送球とソトのタッチがリプレー検証を経てもアウトとなった[12][13]。
  • 2019年は35本塁打を放ちながら、33盗塁をわずか3盗塁刺で記録した[18]。

出典