詳細
記録が始まったのは前年の盗塁死から
山田哲人の連続成功の直前には、2018年8月22日、広島との公式戦(マツダスタジアム)で盗塁失敗があった。8回に二塁を狙い、広島の捕手・會澤翼に阻止されたという。試合は広島が7対4で勝利し、NPBの試合記録でも會澤が捕手として出場している[4][5]。
その後の最初の成功は8月26日、神宮球場のDeNA戦。3回裏、四球で一塁に出ると、バレンティンの打席の初球で二盗を成功させた。相手先発投手は今永昇太、捕手は嶺井博希。これが長い連続成功記録の起点となり、山田は2018年の残りで盗塁成功を5回積み上げた[6][7][2]。
同じ8月26日の5回にも山田は二盗を成功させたように見えたが、打者バレンティンのバットが捕手に接触した守備妨害のため一塁に戻された。公式の盗塁数に加算されず、連続成功の計算にも入らない。「走ったのに記録にならなかった」という珍しい場面もあった[8]。
◇翌シーズンも失敗ゼロが続いた
翌2019年、山田は開幕から33盗塁を続けて成功させた。8月21日の広島戦では二塁アウトの判定がリクエストで覆り、連続成功を32に伸ばす。8月23日の阪神戦で33回となって従来記録を更新し、9月4日の広島戦で38回に到達した[9][10][3]。
2019年9月8日時点のNPB公式コラムは、山田が相手捕手の肩よりも投手のクイックや隙を見てスタートする点に注目していた。結果として、2018年後半の5回と2019年の33回が結び付き、2シーズン越しの38回連続成功となった[11]。
38回で途切れた横浜の一戦
2019年9月14日、横浜スタジアムでのDeNA対ヤクルト25回戦。山田は「3番・二塁手」で先発し、1回表、併殺崩れの遊ゴロで一塁に残った。2死一塁、4番バレンティンの打席の初球で二盗を仕掛けた[5][12]。
マウンドはDeNA先発の上茶谷大河、捕手は伊藤光。伊藤の送球を二塁手ネフタリ・ソトが受けてタッチし、審判はアウトを宣告した。ヤクルトの小川淳司監督がリクエストしたものの判定は覆らず、38回の連続成功はそこで終わった。伊藤は記録を知ったうえでプレーしていたと語っている[12][13][14]。
この送球について伊藤は後に、後方へ構えて距離を稼ぐ通常の工夫をやめ、外角直球の場面で二塁への送球に集中した趣旨を明かしている。山田は一方で、自分の足がタッチより先に入ったと思ったと語り、際どい判定だったこともうかがえる[15][13]。
試合はDeNAが7対4で勝利。山田自身は9回に山﨑康晃から34号ソロ本塁打を放っている。盗塁の記録が途切れた日に、本塁打では存在感を見せたという対照的な一戦だった[12]。
◇その後は立て続けに失敗
9月14日の失敗に続き、15日の広島戦では會澤翼、18日の阪神戦では梅野隆太郎を相手に盗塁を阻止され、3回連続の盗塁死になったと試合別の集計・報道は伝える。9月18日は9回の盗塁死と記録されている。2019年の最終成績は33盗塁・盗塁刺3。記録が続いていた時の成功率100%は、最終的に91.7%(33÷36)となった[3][16][17]。
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連続盗塁成功は、同じ日に2回盗塁を決めれば2回と数え、盗塁しない試合を挟んでも途切れない。シーズンをまたぐ記録も一つの連続として扱う。下表は2019年にNumber Webが掲載した歴代上位の比較を、山田の最終到達点に更新したもの。2019年以降の全選手の盗塁企図を再集計した公式の最新順位表ではない[1][2]。
| 順位 | 選手名 | 連続成功 | 記録期間 | 球団・備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 山田哲人 | 38回 | 2018~2019 | ヤクルト/2019年の33回はシーズン記録 |
| 2 | 福田秀平 | 32回 | 2011~2015 | ソフトバンク/5年にまたがる |
| 3 | 広瀬叔功 | 31回 | 1964 | 南海/単一シーズン |
| 4 | 呉昌征 | 29回 | 1943 | 巨人 |
| 5 | 飯田哲也 | 27回 | 1992 | ヤクルト |
過去の上位数値は2019年8月時点のNumber Web掲載資料、1位は同年9月に到達した最終値。年度をまたぐ記録も対象。1930~40年代の計測条件・盗塁刺の扱いには資料上の限界があるため、古い記録を含む完全順位表とは断定しない[1]。
◇速さだけでなく、走る場面を見極めた
山田は2015年、2016年、2018年に「打率3割・30本塁打・30盗塁」のトリプルスリーを達成し、打撃の中心を担いながら走塁でも強みを発揮した。2019年のNPB公式成績は142試合、打率.271、35本塁打、98打点、33盗塁。連続成功は、出塁機会の多さと高い成功率がかみ合った成果とも考えられる[18][11]。
翌年に伊藤光が振り返ったところでは、2019年の山田は盗塁企図36回のうち24回がバレンティンの打席で、その24回中22回成功していたという。ただし山田自身は、特定打者の打席よりも自分の構えとスタートの遅れを防ぐことに意識を置いていたとされる[15]。
比較対象の福田秀平は、出場機会や故障をはさみながら2011〜2015年に32回成功。南海の広瀬叔功は1964年の1シーズンに31回成功した。古い資料ではシーズンまたぎの記録を「参考記録」と呼ぶ例もあるため、集計対象の違いに注意したい[1][19]。
対象はNPB一軍公式戦の「盗塁成功」の連続回数で、盗塁刺が記録されれば中断する。年度境界・盗塁しなかった試合は中断とみなさない。連続「試合」盗塁、同一カード内の連続成功、牽制死だけによる走塁アウトとは区別する。歴代順位は2019年当時の報道による上位5例であり、2026年まで全選手を網羅して再検算した順位表ではない。資料確認日:2026年10月10日。