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順位と相性が逆転した2022年
ヤクルトは80勝で2位DeNAに8ゲーム差をつけて優勝。中日は66勝75敗2分で最下位となり、首位とのゲーム差は15だった。ところが両者の直接対決は、中日が14勝10敗1分。勝利数でも負け数でも、年間の順位関係がそのままカードの成績にはならなかった[1]。
| 順位 | 球団 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 | ゲーム差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ヤクルト | 143 | 80 | 59 | 4 | .576 | -- |
| 2 | DeNA | 143 | 73 | 68 | 2 | .518 | 8.0 |
| 3 | 阪神 | 143 | 68 | 71 | 4 | .489 | 12.0 |
| 4 | 巨人 | 143 | 68 | 72 | 3 | .486 | 12.5 |
| 5 | 広島 | 143 | 66 | 74 | 3 | .471 | 14.5 |
| 6 | 中日 | 143 | 66 | 75 | 2 | .468 | 15.0 |
2022年セ・リーグの最終順位。★はヤクルトと中日を注目行に指定。球団名は表内のみ略称[1]。
| 球団 | 守備率 | 失策 | 捕逸 |
|---|---|---|---|
| DeNA | .988 | 64 | 7 |
| 中日 | .988 | 66 | 5 |
| ヤクルト | .987 | 69 | 5 |
| 広島 | .986 | 73 | 8 |
| 巨人 | .985 | 82 | 8 |
| 阪神 | .984 | 86 | 3 |
NPB公式の掲載順。守備率は表示桁を合わせた[4]。
投手力のある最下位と長打力のある王者
中日は打率.247で4位、414得点・62本塁打はともにリーグ最少だった。一方で防御率3.28は2位。最下位だから投打ともに最弱というチームではなかった。ヤクルトは619得点・174本塁打でともにリーグ最多ながら、防御率は3.52。この違いから、中日の投手が機能すれば順位差に反して接戦に持ち込める余地があったと考えられる。ただし、球場や起用の影響も含む年間の数字だけで、相性の原因を確定することはできない[2][3]。
| 球団 | ヤクルト | DeNA | 阪神 | 巨人 | 広島 | 中日 | 交流戦 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ヤクルト | — | 16勝9敗 | 13勝11敗1分 | 11勝13敗1分 | 16勝8敗1分 | 10勝14敗1分 | 14勝4敗 |
| DeNA | 9勝16敗 | — | 16勝9敗 | 13勝11敗1分 | 8勝17敗 | 18勝6敗1分 | 9勝9敗 |
| 阪神 | 11勝13敗1分 | 9勝16敗 | — | 14勝10敗1分 | 9勝14敗2分 | 13勝12敗 | 12勝6敗 |
| 巨人 | 13勝11敗1分 | 11勝13敗1分 | 10勝14敗1分 | — | 13勝12敗 | 13勝12敗 | 8勝10敗 |
| 広島 | 8勝16敗1分 | 17勝8敗 | 14勝9敗2分 | 12勝13敗 | — | 10勝15敗 | 5勝13敗 |
| 中日 | 14勝10敗1分 | 6勝18敗1分 | 12勝13敗 | 12勝13敗 | 15勝10敗 | — | 7勝11敗 |
左端の球団から見た成績。交流戦は他リーグ6球団との合計で、リーグ内の対戦表とは別枠。各行の直接対決と交流戦を足して、順位表の勝敗に一致することを確認した[1]。
◇苦手カードを他の対戦で補った
ヤクルトは交流戦を含む6月に19勝4敗と大きく勝ち越し、優勝争いを有利に進めた。7月は7勝13敗と失速したが、9月25日のDeNA戦に1対0で勝って連覇を決めた。前半に積んだ白星が、主力を欠いた夏と苦手カードの負け越しを支えたと整理できる[7][16]。
ヤクルトは中日戦で4つ、巨人戦で2つ負け越したが、DeNA戦で7つ、広島戦で8つ、阪神戦で2つ勝ち越した。さらに交流戦は全6球団に勝ち越して14勝4敗。全体では貯金21まで積み上げた。中日はヤクルトと広島に勝ち越した一方、DeNAには6勝18敗1分と12の負け越し。王者に勝てることと、全カードを合わせて上位になることは別だった[1]。
| 球団 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 得点 | 失点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヤクルト | 10 | 14 | 1 | 93 | 91 |
| 中日 | 14 | 10 | 1 | 91 | 93 |
25試合の対戦成績。得点・失点はNPBの各試合スコアから再集計。ヤクルトの対中日打率は.234で、通年の.250を下回った[1][2][5][7]。
ヤクルトは中日戦で合計93得点、91失点と2点のプラスだったが、勝利数では4つ下回った。4月19日の12対4、6月23日の10対0、8月2日と9月2日の5対0など、大差の勝利で得失点差を広げた一方、1点差の5試合では1勝4敗。このカードの勝敗の差は、1点差試合の差だけでも3つあった。合計得点の多い側が、試合数でも勝ち越すとは限らない[7]。
| 期間 | ヤクルト 勝 | ヤクルト 敗 | 引分 | ヤクルト 得点 | ヤクルト 失点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 2 | 3 | 0 | 24 | 27 |
| 5月 | 1 | 2 | 0 | 3 | 4 |
| 6月 | 2 | 1 | 0 | 18 | 5 |
| 7月 | 0 | 2 | 0 | 4 | 10 |
| 8月 | 3 | 2 | 0 | 26 | 18 |
| 9月 | 2 | 4 | 1 | 18 | 27 |
ヤクルトから見た月別成績。中止・順延した試合は、実際の開催日に数えた[7]。
◇高橋宏斗に4戦4敗
最も具体的な相性の要素は、高卒2年目の高橋宏斗だった。ヤクルト戦に4度先発し、4度とも勝利投手。合計24回1/3で7自責点、28奪三振、防御率は7×9÷(24+1/3)=約2.59。高橋のシーズン成績は6勝7敗、防御率2.47で、年間6勝のうち4勝を優勝チームから挙げていた[8][17]。
| 日付 | 球場 | 中日から見たスコア | 投球回 | 奪三振 | 失点 | 自責点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4月7日 | 神宮 | 11対3 | 6 | 5 | 3 | 3 |
| 4月20日 | バンテリンドーム | 4対1 | 6 | 8 | 1 | 1 |
| 9月4日 | 神宮 | 6対3 | 5 1/3 | 10 | 3 | 3 |
| 9月22日 | 神宮 | 3対0 | 7 | 5 | 0 | 0 |
全て2022年、高橋宏斗が勝利投手。表示した投球回は本人の投球回。防御率の集計では1/3回を小数の0.1回として扱わない[8]。
プロ初勝利となった4月7日は、本人も2回に2点適時打を放った。9月22日の最終対戦では7回1安打無失点と抑え、中日の14勝目を決めた。中日の年間順位だけでは見えない、王者相手に働いた選手単位の強みだった[8]。
◇5月10日の完封リレー
5月10日はA.マルティネスの4回のソロ本塁打による1点を、小笠原が6回無失点、祖父江・ロドリゲス・R.マルティネスが各1回無失点で守った。両軍とも7安打だったが、中日が1対0で勝利。ヤクルトの長打力が試合全体を支配する前に、先発と救援で競り勝った具体例といえる[9]。
◇7月の主力離脱だけでは説明しきれない
ヤクルトは7月9日と10日に監督・主力選手らの新型コロナ陽性を相次いで発表し、山田、長岡、青木、中村、塩見らの不在が重なった。7月13日と14日の中日戦には敗れ、14日は木下に4打点を許した。戦力を欠いた時期が、このカードの2敗に重なったことは確認できる[10][11][12]。
ただし、中日には4月と5月の段階ですでに3勝5敗と負け越し、9月も2勝4敗1分だった。7月の離脱だけを全季の負け越しの原因とはできない。投手ごとの相性や、接戦での結果の偏りも合わせて見る必要がある[7][8]。
◇村上の記録が生まれた相手でもある
中日が全ての試合でヤクルト打線を封じたわけではない。村上宗隆が5打席連続本塁打のプロ野球新記録を完成させた8月2日の相手は中日だった。前日の試合ではなく、直前の阪神戦での3打席連発に、この日の38号ソロと39号2ランをつないだ記録で、ヤクルトは5対0で勝っている。強烈な勝ち試合と、年間カードの負け越しが同居した[13]。
1994年にも起きた順位と相性の逆転
もう一つの例は、巨人と横浜。巨人は70勝60敗で優勝し、横浜は61勝69敗で最下位だったが、巨人から見た対横浜は11勝15敗だった。こちらの首位と最下位の差は9ゲーム。横浜は543得点・535失点と得失点差がプラスで、打率.261もリーグ2位だった。最下位というだけで打力まで低いと判断できない例である[14][15]。
| 順位 | 球団 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 | 差 | 打率 | 防御率 | 得点 | 失点 | 本塁打 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 巨人 | 130 | 70 | 60 | 0 | .538 | — | .2583 | 3.41 | 516 | 483 | 122 |
| 2 | 中日 | 130 | 69 | 61 | 0 | .531 | 1.0 | .2581 | 3.45 | 535 | 481 | 108 |
| 3 | 広島 | 130 | 66 | 64 | 0 | .508 | 4.0 | .276 | 4.18 | 585 | 584 | 126 |
| 4 | ヤクルト | 130 | 62 | 68 | 0 | .477 | 8.0 | .250 | 4.05 | 486 | 585 | 130 |
| 4 | 阪神 | 130 | 62 | 68 | 0 | .477 | 8.0 | .256 | 3.43 | 503 | 500 | 92 |
| 6 | 横浜 | 130 | 61 | 69 | 0 | .469 | 9.0 | .261 | 3.76 | 543 | 535 | 107 |
1994年セ・リーグ。阪神とヤクルトは同率4位。打率はNPB公式が区別している表示桁を残した[14]。
| 球団 | 巨人 | 中日 | 広島 | ヤクルト | 阪神 | 横浜 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 巨人 | — | 14勝12敗 | 14勝12敗 | 15勝11敗 | 16勝10敗 | 11勝15敗 |
| 中日 | 12勝14敗 | — | 15勝11敗 | 14勝12敗 | 13勝13敗 | 15勝11敗 |
| 広島 | 12勝14敗 | 11勝15敗 | — | 14勝12敗 | 16勝10敗 | 13勝13敗 |
| ヤクルト | 11勝15敗 | 12勝14敗 | 12勝14敗 | — | 16勝10敗 | 11勝15敗 |
| 阪神 | 10勝16敗 | 13勝13敗 | 10勝16敗 | 10勝16敗 | — | 19勝7敗 |
| 横浜 | 15勝11敗 | 11勝15敗 | 13勝13敗 | 15勝11敗 | 7勝19敗 | — |
左端の球団から見た対戦成績。各カード26試合、交流戦は未導入。行合計をNPBの年間勝敗と照合した[14][15]。
◇後半だけなら巨人は横浜に1勝10敗
巨人は7月16日まで横浜に10勝5敗と勝ち越していたが、7月17日以降は1勝10敗。通年の対横浜成績は、この終盤の偏りで11勝15敗へ反転した。優勝は10月8日の中日との最終戦までもつれた。一方、横浜は巨人とヤクルトには勝ち越したものの、阪神には7勝19敗。特定カードの成績が両チームの順位形成に強く影響したことが分かる[15][16]。
なぜ順位差どおりにならなかったのか
2022年は、投手との具体的な相性、1点差試合の勝敗、主力離脱の時期が中日戦の結果に重なった。一方、ヤクルトは他カード、とりわけ交流戦で大きく勝ち越し、総合成績ではリーグの頂点に立った。1994年も、巨人対横浜という1カードの終盤の偏りと、横浜対阪神の大幅な負け越しが、順位と直接対決の逆転を生んでいる。これは確認できた成績と試合経過からの整理で、全ての敗戦を一つの原因へ帰すものではない[1][7][8][15][16]。
記録の範囲と資料の扱い
対象は、6球団のリーグで年間の最終順位が1位と6位となった球団同士の対戦で、優勝チーム側の勝利数が敗戦数を下回ったケース。途中時点の首位・最下位、同率対戦、交流戦の別リーグ最下位、ポストシーズンは対象外とする。掲載した2例は代表例であり、2026年までの全シーズンを独自に全件集計した一覧ではない。「史上唯一」「歴代で最も苦手」とは断定しない。資料確認日:2026年10月12日。
2022年のチーム全体の防御率・自責点はNPB公式を優先した。ヤクルトの球団メディアガイドには通年防御率3.54・自責点509の表示があるが、NPB公式は3.52・506を掲載している。相違の理由は確認できないため、両者を混ぜず、対戦別の得点・打率だけを球団資料から使用した。得点93・失点91はNPBの全25試合のスコアからも再集計し一致した[2][3][5][6][7]。
1994年の阪神とヤクルトは同率4位。対戦表の並びはNPB公式の掲載順(ヤクルト、阪神)を採用し、順位欄は双方4とした[14]。