詳細
出遅れの理由と最初の一発
◇開幕時にはまだ西武の選手ではなかった
メヒアの第1号が遅かった理由は、38試合も打てなかったことではない。西武が入団合意を発表したのは4月30日で、入団会見は5月5日。シーズン途中に加わった新外国人だった[A7][A8]。
そのため、今回の物差しでは「球団39試合目」だが、本人にとってはNPBでの初出場。さらに最初の打席で本塁打を打っている。「本塁打王の最も遅い第1号」であると同時に、本人の打席だけを見れば、これ以上早く打てない第1号でもあった[A1]。
◇39試合目の数え方
| 期間 | 成立した西武の試合 | 累計 |
|---|---|---|
| 3月28〜30日 | 3 | 3 |
| 4月1〜30日 | 25 | 28 |
| 5月1〜15日 | 11 | 39 |
NPBの4月カレンダーに掲載された3月の開幕3試合も含めて集計した。5月15日の試合を含めて39試合で、その直前までに38試合が終わっていた。入団前、二軍調整中、本人が一軍で欠場した日も、所属球団の一軍公式戦が成立していればカウントする[A2][A3]。
◇初打席の3球目を左翼席へ
2014年5月15日 日本ハム対西武 札幌ドーム。メヒアは5番・指名打者で先発し、0−1の2回表、先頭打者として上沢直之と対戦した。カウント1−1からの3球目、139キロの直球を左翼席へ運ぶ同点ソロ。日刊スポーツは、日本での初スイングが本塁打になったと伝えている[A1][B2]。
| 打順 | 位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 三振 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5 | (指) | メヒア | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 |
この日の打席結果は、左本/三ゴロ/空三振/右邪飛。初打席で鮮烈な一発を放ったものの、その後は3打数無安打だった[A1]。
夏に加速したタイトル争い
◇106試合で34本
| 試合 | 打席 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 106 | 450 | 396 | 115 | 34 | 73 | .290 | .581 | .369 |
メヒアの2014年シーズン成績。出場106試合で34本塁打を放ち、中村剛也とパ・リーグ最多を分け合った。西武の公式発表でも、シーズン途中入団の選手が本塁打王になるのは史上初と紹介されている[A4][A5][A11]。
こちらにも興味があれば打撃規定打席に届かず本塁打王になった選手◇月別では8月に11本
| 月 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 |
|---|---|---|---|---|
| 5月 | 12 | .440 | 3 | 8 |
| 6月 | 18 | .222 | 5 | 11 |
| 7月 | 22 | .321 | 8 | 16 |
| 8月 | 26 | .283 | 11 | 22 |
| 9月 | 25 | .220 | 6 | 11 |
| 10月 | 3 | .417 | 1 | 5 |
月別成績は民間集計NF3から。合計の106試合・34本塁打・73打点はNPBの年度別成績と一致する。5〜6月の8本に対し、7〜8月は19本。後から追いかけた選手が、夏の2か月で一気に本数を積み上げた[B4][A4]。
◇構えを変えて外の球を見極める
9月30日付の週刊ベースボールの記事は、メヒアが日本の配球に対応する過程を紹介している。来日直後の前かがみの構えから、より上体を起こした構えへ変化し、田辺徳雄監督代行は外のボール球を見極めやすくなったと説明した。中村も、内角の球で意識を引きつけてから外へ誘う日本の攻め方への対応に言及している。途中入団からの本塁打王は、長打力に加え、シーズン中の調整によって生まれた[B3]。
◇最後に並んだチームメート
西武のシーズン最終戦は10月3日の楽天戦。メヒアが34本で先行していたところへ、中村が7回に代打で34号の同点3ランを打った。西武はその後勝ち越して7−4で勝利。この日のメヒアに本塁打はなく、2人が34本で並んだままシーズンを終えた[A12][A5]。
パ・リーグ公式メディアは、同一球団の2人が本塁打王を分け合ったのは、1950年の2リーグ制以降で初めてと紹介している。球団が10月8日に掲載したコメントでも、中村は2人での受賞を喜び、メヒアは途中からの加入でタイトルを取れるとは思わなかったと振り返った。中村への敬意や、日本への適応を助けたコーチ・チームメートへの感謝も述べている[B5][A9]。
◇打線の補強と苦しいチーム状況
西武は開幕3連敗で始まり、主力の中村や坂田遼の故障もあった。6月4日に伊原春樹監督が休養し、田辺が監督代行となる。岸孝之のノーヒットノーランや、森友哉の3試合連続本塁打など明るい話題もあったが、最終成績は63勝77敗4分の5位。メヒアの本塁打王は、チームの苦境の中から生まれた個人タイトルだった[A10]。
2014年の主要打撃三部門
◇パ・リーグ
打率
| 順位 | 選手名 | 球団 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 1 | 糸井嘉男 | オリックス | .331 |
| 2 | 銀次 | 楽天 | .327 |
| 3 | 柳田悠岐 | ソフトバンク | .317 |
本塁打
| 順位 | 選手名 | 球団 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 1 | メヒア | 西武 | 34 |
| 1 | 中村剛也 | 西武 | 34 |
| 3 | ペーニャ | オリックス | 32 |
打点
| 順位 | 選手名 | 球団 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 1 | 中田翔 | 日本ハム | 100 |
| 2 | 中村剛也 | 西武 | 90 |
| 2 | ペーニャ | オリックス | 90 |
打率[L1]/本塁打[A5]/打点[L3]。メヒアの打率.290、73打点は、いずれもトップ3ではない。打率上位3人と本塁打上位3人が重ならず、首位打者と本塁打王は異なる顔ぶれだった[A4]。
◇セ・リーグ
打率
| 順位 | 選手名 | 球団 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 1 | マートン | 阪神 | .338 |
| 2 | 菊池涼介 | 広島 | .325 |
| 3 | 山田哲人 | ヤクルト | .324 |
本塁打
| 順位 | 選手名 | 球団 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 1 | エルドレッド | 広島 | 37 |
| 2 | バレンティン | ヤクルト | 31 |
| 3 | 山田哲人 | ヤクルト | 29 |
打点
| 順位 | 選手名 | 球団 | 成績 |
|---|---|---|---|
| 1 | ゴメス | 阪神 | 109 |
| 2 | エルドレッド | 広島 | 104 |
| 3 | 雄平 | ヤクルト | 90 |
打率[L4]/本塁打[L5]/打点[L6]。両リーグとも「順位が3位以内」の全員を掲載。同率一位・二位は公式順位を保ち、打率は規定打席到達者のランキングを使う。
歴代比較と近年の追加確認
◇日付ではなく球団の試合数
| 年 | 選手名 | 球団 | 第1号の日 | 球団の試合数 | 最終本塁打 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2014 | メヒア | 西武 | 5月15日 | 39試合目 | 34 |
| 1943 | 古川清蔵 | 名古屋 | 7月1日 | 36試合目 | 4 |
| 1943 | 加藤正二 | 名古屋 | 6月29日 | 35試合目 | 4 |
| 1957 | 佐藤孝夫 | 国鉄 | 5月14日 | 32試合目 | 22 |
| 2018 | ソト | DeNA | 5月6日 | 29試合目 | 41 |
2018年12月20日の日刊スポーツ掲載表の上位5人。表の注記も、本人の出場数ではなくチームの試合数としている。古川の7月1日は暦上ではメヒアより遅いが、開幕からの試合数は36。日付だけで比べると、この問いへの答えが変わってしまう[B1]。
◇2019〜2025年の本塁打王も照合
| 年 | 選手名 | 第1号の日 | 球団の試合数 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 2019 | ソト | 4月3日 | 5試合目 | [V2019] |
| 2019 | 山川穂高 | 3月29日 | 1試合目 | [V2019] |
| 2020 | 岡本和真 | 6月21日 | 3試合目 | [V2020] |
| 2020 | 浅村栄斗 | 6月23日 | 4試合目 | [V2020] |
| 2021 | 岡本和真 | 4月11日 | 15試合目 | [V2021] |
| 2021 | 村上宗隆 | 3月27日 | 2試合目 | [V2021] |
| 2021 | 杉本裕太郎 | 4月8日 | 12試合目 | [V2021] |
| 2022 | 村上宗隆 | 4月1日 | 7試合目 | [V2022] |
| 2022 | 山川穂高 | 3月26日 | 2試合目 | [V2022] |
| 2023 | 岡本和真 | 4月12日 | 11試合目 | [V2023] |
| 2023 | 近藤健介 | 4月4日 | 4試合目 | [V2023] |
| 2023 | 浅村栄斗 | 4月18日 | 13試合目 | [V2023] |
| 2023 | ポランコ | 4月4日 | 4試合目 | [V2023] |
| 2024 | 村上宗隆 | 4月14日 | 13試合目 | [V2024] |
| 2024 | 山川穂高 | 3月29日 | 1試合目 | [V2024] |
| 2025 | 佐藤輝明 | 3月28日 | 1試合目 | [V2025] |
| 2025 | レイエス | 3月28日 | 1試合目 | [V2025] |
同率受賞者を含む17人・シーズンについて、第1号の試合を全打席記録から探し、NPB公式試合結果の「1号」と照合した。球団の試合数はNPB公式カレンダーで開幕から数えた。この期間で最も遅いのは2021年の岡本和真の15試合目で、39試合目を上回る例はない[V2019][V2020][V2021][V2022][V2023][V2024][V2025]。
◇集計の範囲と確認日
対象は1936〜2025年の日本プロ野球の本塁打王。当時のシーズン区分は歴代資料に従う。リーグ別の同率一位を認め、一軍のレギュラーシーズンだけを対象とし、オープン戦、二軍戦、オールスター、ポストシーズンは数えない。2026年は進行中のため対象外。確認日は2026年10月6日。
歴代比較は2018年の日刊スポーツ掲載表を基点とし、メヒアの39試合目を公式日程で再集計したうえで、2019〜2025年の受賞者を追加確認した。歴代の全受賞者の初本塁打を独立に全件再集計した調査ではない。したがって本記事は「確認できた資料で最遅」とする。NPBが公式に公表する独立した記録部門としての認定を意味しない[B1][A2][A3]。